「ウチの子、英語が大嫌いなんです。 成績はどん尻です。 野村先生の手で何とかしてやってください。」 そういいながら母親がこの子を連れてきたのが昨年秋だった。
それから1対1の授業がはじまった。 だが、何を話しても答えてくれない。I,my, me の区別もつかない。 いやはや困った。どこから手を付ければいいのだろう?
とにかく信頼関係を築こうとおもい、いろんな話をしてみた。大昔の学生時代のことをメインに話した。 担任の先生に口答えして殴られたこと、父親とケンカしてプチ家出したこと、隣のクラスの女子が好きになって手紙を書いたけどフラれたこと。
努力の甲斐あって、その子は段々と心を開いてきた。目が合うようになり、笑顔も見せるようになった。 ここまでくればしめたもの! あと少しだ。
ノートに記入するよりパソコンやタブレットに入力するほうが好きだとわかり、PC中心にきりかえた。なんと今風の子らしくキーボードの操作がとても速い。 教科書1ページ分の英文などあっという間に入力してしまう。
母親からメールがくる。「ウチの子は飽きやすいのですぐにやめると言い出すと思っていましたが、野村先生の塾だけは続けたいそうです。やる気にさせてくれてありがとうございます。いいニュースがあります。私から言ってもいいのですが、子どもがどうしても直接野村先生に言いたいそうです。」
そして先日の授業、その生徒は教室に入るなり大きな声で話してくれた。学校の英語の時間に小テストがあり、満点をとったという。
おおう、やったじゃないか。オラー!
思わず叫んでしまった。 赤点しかとれなかった生徒ががんばった。たかが小テストかもしれないが、満点をとった意義はおおきい。
その調子だ、次もがんばっていこう!