Turning Japanese

「段々日本人になってゆく」とでも訳せばいいのかな。この表題、今週号の英紙エコノミストの見出しです。しかもこんな絵を載せて・・・

 

 

 

国家債務の上限引き上げをめぐって動揺するオバマ大統領、そしてギリシャ危機の対応にせきたてられているメルケル首相の先送り姿勢がまるで日本の政治家のようだと皮肉っているのです。

A GOVERNMENT’S credibility is founded on its commitment to honour its debts. As a result of the dramas of the past few weeks, that crucial commodity is eroding in the West. 政府に対する信頼とは、債務を引き受けて期日に返済する責任に基づくものだ。だがこの数週間に起きたドラマの結果、この責任感が西側諸国で崩れている。

In the early days of the economic crisis the West’s leaders did a reasonable job of clearing up a mess that was only partly of their making. Now the politicians have become the problem. 以前に経済危機が起きたとき、西側諸国の指導者たちは「混乱を取り除く」という職務をしっかりと遂行していた。それが彼らの能力の一部分にすぎなかった。 今では政治家そのものが問題となっている。

The West’s leaders are not willing to make tough choices; and everybody—the markets, the leaders of the emerging world, the banks, even the voters—knows it.

西側指導者たちは、厳しい選択をすることにためらいを覚えている、そのことは皆わかっている。市場、新興国指導者、銀行、選挙民さえもだ。

The world has seen this before. Two decades ago, Japan’s economic bubble popped; since then its leaders have procrastinated and postured.

これと同じ事象を世界は前に見ている。20年前、日本でバブルが崩壊した時だ。それ以後、首脳陣は問題解決を引き伸ばし、不自然な態度をとってきた。

Its economy has barely grown and its regional influence has withered.

経済成長はほとんどしなくなり、地域における影響力もしぼんでしまった。

As a proportion of GDP, its gross public debt is the highest in the world, twice America’s and nearly twice Italy’s. 借金の総額を対GDP比でみると、アメリカやイタリアの2倍に相当する。

If something similar were to happen to its fellow democracies in Europe and America, the consequences would be far larger.似たようなことが欧米の民主主義国家で起こったなら、その結末ははるかに大きなものとなろう。

No wonder China’s autocrats, flush with cash and an (only partly deserved) reputation for getting things done, feel as if the future is on their side.

豊富な資金力を持ち、限定的ながら実行力があるという評判をも持つ中国が、「将来は我が国に有利に動く」と感じるのは無理もないことだろう。

Japan’s politicians had umpteen chances to change course; and the longer they avoided doing so, the harder it became. Their peers in the West should heed that example. かつて日本が方向を転換できるチャンスは多く存在した。それを避ける時間が長くなるほど、その転換が難しいものになった。西側諸国はこの実例にもっと留意すべきだろう。

 

 

“Turning Japanese” への2件の返信

  1. お久しぶりです。

    最初の文のcommitmentの訳とhonourの意味がわからず、のむのむさんの訳文を読んで、ほほ~、なるほどねえ、と感心しました。正確だし、わかりやすいし、感服です。

    ふたつほど、ここはどうだろう?と思った個所を指摘させてくださいね。

    1.a mess that was only partly of their making.

    この関係詞thatの先行詞はmessだと思うのですが、どうでしょう?だとすると、「彼らには混乱の責任はほんの一部しか担っていなかった」ってことかなあ、と思いました。

    2.its leaders have procrastinated and postured.
    posture、動詞の意味がわからなかったので、辞書を確認しましたら、「気取る」とあったので、この文脈に照らすと「体裁を繕う」みたいなかんじかなと思いました。

    西側諸国と日本語で言うと、先進国の同意語として使われ、その中には日本も含まれているという前提がある気がするのですが、この記事を見ていて、the Westは欧米のみで、日本は入っていないかんじかあ、と思ったりしました。

  2. montoさん、お久しぶりです。
    ご指摘いただいた2点、さすが鋭いですね。
    もう何年も英語やっているのに、どう考えても役が見いだせない時があります。
    どうかこれからもビシビシ指導してくださいね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です